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コラム

2021.03.29
まるわかり!成年後見人の手続きについて

成年後見制度を利用するための手続きには一定の期間を要します。

専門家に手続きを依頼するとしても、裁判所による審査が行われることから時間を大幅に短縮することはできません。

利用者の側も、手続きの流れや必要期間などを頭に入れておく必要があるので、本章では成年後見制度にかかる手続き面の流れや必要期間について見ていきます。

後見人就任までにかかる期間

成年後見制度利用に係る必要期間はケースによってかなり開きが出ます。

早ければ1か月、遅ければ半年くらいかかることもありますが、大体のケースでは二か月程度が目安になると考えてください。

期間に開きが出る理由は、一連の手続きの中でケースによって不要となる作業や必要になる作業が異なるので、作業量が多くなるほど時間がかかるからです。

例えば本人の精神鑑定が必要だと裁判所が認めると、診断をしてくれる医師を探して交渉しなければなりませんし、実際の診断には心理テストなど時間を取って行う作業も必要です。

また本人の家族など周囲の人物への聞き取り調査の際に、家族間で争いやトラブルがあると通常よりも時間がかかることがあります。

個別のケースで事情が変わってくるため、要する期間にも変動が出るわけです。

手続きを専門家に頼む場合、申請書類の準備等で若干の時間短縮にはなりますが、裁判所側で行う作業で時間を要すことになるので、大幅な時間短縮にはつながりません。

では次の項から、申し立てから後見開始までの流れを見ていきましょう。

家庭裁判所への申し立て

成年後見制度を利用するには家庭裁判所への申し立てが必要です。

申し立てできる人物は法律で決まっていて、本人や配偶者の他、四親等内の親族も認められます。

通常、成年被後見人となる人は自分で手続きを行えない状態であることが多いので、周囲の人が申し立てを行うことになります。

本人の周囲に家族など申立権者となれる人がいない場合、市町村長にも申し立てが認められます。

申し立てに必要な書類はケースによって変わりますが、概ね以下のような書類が必要になります。

1:申し立て書類

・後見開始の申立書 
・申立事情説明書
・親族関係図
・親族の意見書
・後見人等候補者事情説明書
・財産目録
・相続財産目録
・収支予定表

2:本人情報シート 

本人の介護状況などを記した資料で、書式をケアマネージャーなどに渡して作成してもらいます。

3:診断書関係

医師の診断書
医師に対する質問書

4:本人の戸籍謄本

5:本人の住民票

6:登記されていないことの証明書

本人がすでに成年後見等で登記されていないことを証明するもので、東京法務局から取り寄せます。

7:本人の健康状態が分かる資料

精神障害者手帳、身体障害者手帳、療育手帳、要介護度が分かる書面(介護保険認定書等)など。

上記は原本とA4のコピーが必要です。

8:本人の財産等に関する資料

不動産関係・・不動産全部事項証明書、固定資産税評価証明書等
預金・株式関係・・預貯金通帳、残高証明書、預かり証、株式の残高報告書等
保険関係・・保険証書等
負債に関する資料・・借金に関する契約書や返済明細書等
収入に関する資料・・確定申告書、給与明細書、年金額決定通知書等
支出面に関する資料・・納税通知書、国民健康保険料、介護保険料の決定通知書、家賃、医療費、施設費の領収書等

上記は原本とA4のコピーが必要です。

9:成年後見人候補者の住民票

上記必要資料のうち1~3は、裁判所のHPから書式をダウンロードすることができます。
https://www.courts.go.jp/fukushima/saiban/tetuzuki/seinen_kouken/index.html

家庭裁判所の調査官による事実の調査

家庭裁判所に申し立てが受理されると、事実関係を確認するために調査官による面談や照会が行われます。

面談の対象は基本的に申立人と成年後見人の候補者です。

面談にかかる時間はおよそ1時間から2時間程度で、成年後見人の選任が必要になった経緯や本人の状態、生活状況、財産に関する情報などを聴取されます。

また必要があると認めた場合は被後見人となる本人に対しても面談を行うことがあります。

これ以外に、本人の親族に対して意見聴取を行うこともあります。

本人について後見開始の申し立てが行われていることや、成年後見人の候補者が推薦されていることなどを伝え、親族としての意向を聴取します。

これに対して、候補者について好ましくないなどの意見が多数出た場合は、その候補者が選ばれず、第三者の弁護士などが選ばれる可能性が高くなります。

申し立ての際に、あらかじめ親族から後見開始について同意書が提出されている場合は意見聴取が省略されることもあります。

精神鑑定

裁判所が必要と認めた場合、医師による精神鑑定(鑑別)が行われることがあります。

申し立ての際には必ず医師の診断書の提出を求められますが、これは本項の精神鑑定とは別です。

提出された診断書や関係者からの聞き取りだけは本人の判断能力を正確に判定できないと認めた場合に、裁判所が別途の精神鑑定を求めます。

基本的には普段から本人を診察している主治医にお願いすることを想定していますが、主治医が精神鑑定に慣れていないと引き受けてくれないこともあります。

裁判所では精神科領域に詳しくない医師でも鑑定がしやすいようにガイドラインや作成例も用意しているので、これを主治医に示すことで引き受けてくれやすくなります。

参考:成年後見制度における鑑定書書式《要点式》
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file4/H2512youten.pdf

どうしても主治医が引き受けてくれない場合は、精神科領域の専門医にお願いすることになります。

鑑定に係る費用は医師が決めて良いことになっているので幅が出ますが、主治医が引き受けてくれた場合は5万円程度、精神科領域の専門医にお願いする場合は10万円程度が費用の目安になります。

審判

申立人から提出された各種の資料や調査官が行った関係者への面談、照会作業を通して得られた情報を基に、後見開始が妥当かどうかの審判が行われます。

後見開始の審判がなされると、同時に成年後見人の選任が行われます。

申立人が推薦した候補者が選ばれることもありますし、弁護士など第三者の職業人が選ばれることもあります。

推薦した候補者が選ばれた場合でも、別途後見監督人が選任される可能性もあります。

審判の告知と通知

審判の内容は書面で申立人や成年後見人に送付されることになっていて、書面が送付されてから二週間以内に不服の申し立てが無ければ審判の効力が確定します。

もし審判の内容に納得がいかない場合、審判の効力確定前であれば申立人その他の利害関係者は即時抗告という形で不服の申し立てを行うことが可能です。

ただし、選ばれた成年後見人が意に沿わないという理由で即時抗告することはできないとされています。

つまり、「推薦した候補者が選ばれなかったことに納得できないからやり直せ」などの理由では不服の申し立てはできないということです。

家族の心情を考えれば身近な人物を選んでほしい気持ちが強いと思いますが、現行の制度の下では誰が選任されてもその決定に従うしかありません。

後見登記

審判が確定すると、裁判所から東京法務局に対して後見登記を行うように依頼が出されます。

後見登記とは成年後見制度が適用されていることを登記の形で証明することができるものです。

成年被後見人の氏名や住所、本籍、これを支援する成年後見人の氏名や住所、選任された年月日、また後見監督人が選任された場合は同人の情報などが記載されます。

成年後見制度の運用実務にあっては、後見にかかる登記事項証明書が必要不可欠で、諸々の方面での手続きや説明などの際に必ず必要になります。

例えば本人が認知症のために銀行の預金を凍結されている場合、成年後見人として銀行と交渉する際にはその権限を証明する資料として登記事項証明書が必要になります。

不動産の売却や、遺産分割協議への代理参加などの場面でも必要になるので、後見登記は実務を開始する前提条件となるものです。

裁判所から依頼が行ってから実際に登記がなされるまでには一週間~二週間ほどの期間を要します。

後見登記は東京法務局が全国分を一括して担当しているので、登記がされたころを見計らって登記事項証明書の発行手続きを行いましょう。

遠方の方は東京法務局に対して郵送で申請することもできますし、地方の法務局でも本局であれば申請手続きをすることができます。

支局や出張所では申請できないので注意してください。

発行手数料は1通550円で、郵送の場合は別途切手代などがかかります。

法定後見開始

成年後見人に選ばれた人は、審判が確定してから一か月以内に本人の財産目録を作成して家庭裁判所に提出することが目下の任務となります。

本人の財産調査には時間がかかりますから、できるだけ早く動いておきたいところです。

しかし財産調査では、銀行などを相手にする際に成年後見人としての身分を証明する必要があります。

上述の通り後見登記がなされて登記事項証明書を取得できるのは審判確定からさらに一週間~二週間の期間を要すので、その間は身分を証明できないことになります。

本人の財産が多くなければ残りの期間で財産目録を作成できることもありますが、財産が多い場合は手続きが間に合わないこともあります。

後見事務を早く開始するには、後見登記にかかる登記事項証明書に代えて、審判の確定証明書を利用する手もあります。

要するに自分が成年後見人であり、手続きを代理する権限があることを証明できれば良いわけですので、代替の証明資料を用意すれば事務手続きが可能になります。

成年後見審判の確定証明書は、申し立て手続きを行った家庭裁判所で取得することができます。

この確定証明書と、あらかじめ送付されている後見開始の審判書をセットにすることで、自分が成年後見人であることを証明できます。

目下必要になる財産目録の作成、提出作業が終われば、その後は定期的に本人の生活状況や財産管理に関する状況を家庭裁判所や後見監督人に報告する事務を行っていきます。

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